女性の性病・性感染症 症状や原因など|B型肝炎・C型肝炎・HIV/エイズ・梅毒・淋菌(淋病)・クラミジア・トリコモナス・カンジダ・のど淋菌・のどクラミジア・HPV(女性)・子宮頸がん
はじめに
以下では、女性の性病の症状などを、簡単にお伝えします。
B型肝炎
B型肝炎とは
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することで、倦怠感や食欲不振、赤褐色尿(赤茶色の尿)や黄疸などの症状を引き起こす病気で、主に体液や血液を介して感染します。
治療法
急性B型肝炎は、急性期の肝庇護療法により、ほとんどの人が完全に治癒します。
しかし、急性B型肝炎を発症した場合、まれに劇症化(黄疸・吐き気・嘔吐が持続し、だるさが強くなるなどの症状)して死亡する場合もあることから慎重に経過観察をする必要があります。
B型肝炎ウイルス(HBV)は、唾液で感染しますか。
B型肝炎ウイルスは、HIVなどに比べて強い感染力を持っていることがわかっています。
したがって、体液である唾液でも接し方(唾液が何らかの原因で体内に入るようなこと)によっては、感染する可能性はあると言えます。
参考)国立感染研究所 他
C型肝炎
C型肝炎とは
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することによって起こる肝臓の病気です。
一般に、C型肝炎ウイルスに感染すると2週間から6ヵ月を経て、急性の肝障害を起こします。しかし、自覚症状の多くは「体が少しだるい、食欲がない」という程度で、黄疸も出にくいため、気づかない人も多いのが特徴です。
感染を放置していると、慢性肝炎から肝硬変・肝がんへと進行していく危険性があります。
治療法
C型肝炎の治療には、抗ウイルス療法と肝庇護療法があります。
まず、抗ウイルス療法により、HCVを駆除して完全治癒を図りますが、総合的に判断して、抗ウイルス療法の適応がないと考えられる場合や、抗ウイルス療法を行っても効果がなかった場合には肝庇護療法を行います。
参考)国立感染研究所 他
HIV感染症/AIDS(エイズ)
HIV感染症/AIDS(エイズ)とは
HIVは、Human Immunodeficiency Virus (ヒト免疫不全ウイルス)というウイルスの頭文字をとった略称で、ヒトの体を病原体(細菌、カビ、ウイルス)などから守るのに重要な役割を果たす免疫細胞に感染するウイルスです。
AIDSはAcquired Immuno-Deficiency Syndrome(後天性免疫不全症候群)という病気の略称です。HIVが免疫細胞に感染すると、この細胞の中でHIVが増殖し免疫細胞を破壊していきます。その結果、免疫機能が低下し、厚生労働省が定めた合併症(23疾患)のいずれかを発症した場合、AIDS(エイズ)と診断されます。
治療法
現在、HIVを完全に除去させる薬はありません。
しかし、HIV感染症の治療法は近年めざましく進歩し、抗HIV薬を服用することにより、発症を遅らせ、感染していても健康を回復したり、維持したりすることができるようになり、死亡率も低下しています。日本で多剤併用療法が可能になってからエイズの臨床経過が大きく変わりました。患者の生命予後は著しく改善され、かつて言われた「死に至る感染症」は「コントロール可能な慢性感染症」へとなってきています。
参考)国立感染症研究所 他
梅毒
梅毒とは
梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という病原体が、皮膚や粘膜の小さな傷から体内に侵入することで感染し、 やがて全身に広がり、さまざまな障害を引き起こす慢性特異性炎症性疾患です。
治療法
梅毒トレポネーマは抗生物質が有効であるため、梅毒に感染してから1年未満で治療を行えば、1~2ヶ月ぐらいの抗生剤の服用で治癒します。
しかし、治療が遅れるほど治療に時間を要するようになります。
梅毒の感染を早く発見して、適切な治療を行うことが大切です。
参考)wikipedia 他
性器淋菌
淋菌感染症(淋病)とは
淋菌感染症(淋病)は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による感染症で、主に男性は尿道炎、女性は子宮頸管炎を引き起こします。淋菌感染症は、性器クラミジア感染症と並んで、頻度の高い性感染症であり、淋菌感染者との1回の性行為により感染する確率は30%と非常に高いのが特徴です。性行動の多様化を反映して、咽頭や直腸感染などの性器以外の感染例が増加しています。
また近年では、淋菌の薬耐性化が顕著で、多剤耐性化 が進んでいます。
治療法
抗菌薬に耐性を持った淋菌(薬剤耐性淋菌)は、投与しても治療効果が出ない抗菌薬があるため、
完治したことが確認できるまで、医師の判断に従うことが必要です。なお、女性の性器淋菌感染症は、治療失敗例を放置すると不妊症の原因となります。
医師が治癒と判定するまでは、しっかりと治療を行いましょう。
男性の淋菌性尿道炎では、必ず症状が出ますか。
男性の場合、淋菌感染した後、2~7日の潜伏期を経て、排尿痛や尿道分泌物の症状が現れます。放置してしばらくすると、それらの症状が自然に収まることもありますが、治癒したわけではなく淋菌の感染は続いています。
症状は個人差もあり、排尿痛のみの場合や、ほとんど無症状の場合もあり、相手に感染させてしまう原因にもなります。
参考)wikipedia 他
性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症とは
性器クラミジア感染症は、クラミジア(Chlamydia trachomatis)という微生物が性行為により感染し、男性では尿道炎や精巣上体炎を、女性では子宮頸管炎と骨盤内炎症性疾患を起こす感染症です。
日本でも世界的にも最も感染者数が多い性感染症ですが、男女共に自覚症状が乏しいことも特徴です。
また、クラミジア感染症は、性器のみではなく咽頭へも感染することが知られています。
治療法
クラミジア感染症は、男女共に自覚症状がほとんどないので、治療途中で薬の服用を中止すると完治せず、またパートナー間でピンポン感染を繰り返すため、パートナーと一緒に適切な治療を受けて、同時に治癒を確認することが大切です。
オーラルセックスにより性器から咽頭(のど)、咽頭から性器への感染の可能性があるため、性器クラミジア感染と診断された際は、パートナーは性器クラミジアの感染がなくても、咽頭のクラミジア感染の可能性があるため、咽頭のクラミジア検査も併せて行うことが大切です。
参考)国立感染症研究所 他
膣トリコモナス症
膣トリコモナス症とは
膣トリコモナス症は、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)原虫による感染症で、主に男性は尿道炎や前立腺炎、女性は膣炎を引き起こします。
膣トリコモナス原虫による感染症は、最もポピュラーな性感染症として古くから知られています。
地域によって感染率の差が大きく、近年、日本では減少傾向にありますが、再発を繰り返す難治症例も少なくありません。
治療法
膣トリコモナス症の治療は、配偶者、パートナーと一緒に、同時期、同期間の治療が必要になります。
膣トリコモナス症の再発例としては、トリコモナス原虫の残存によるものと、隣接臓器からの自己感染と、パートナーからの再感染などがあるので、医療機関でしっかりと治療を行う必要があります。
トリコモナスに感染した場合、すぐに発病しますか。
女性では、トリコモナスに感染してから、通常10日前後に症状が出ます。
女性では強い臭いの黄緑色の泡だったおりものが見られたり、陰部に強いかゆみや灼熱感が現れます。男性は感染しても無症状であることが多い為、気づかないうちにパートナーに感染させてしまい、感染が広がってしまいます。
無症状であっても相手に感染する可能性は十分にありますので、パートナーと一緒に治療しましょう。
参考)wikipedia 他
性器カンジダ症
性器カンジダ症とは
性器カンジダ症は、カンジダ(カビの一種)が性器に感染して生じる感染症で、女性では、膣炎・外陰炎を発症します。男性の場合、罹患例は少ないものの、主に亀頭包皮炎を引き起こします。
カンジダは、もともと性器周辺や口腔内、その他の体表に存在している菌(常在菌)であり、通常は増殖しませんが、抗生物質の服用や、体調の悪化などで免疫力が低下すると増殖して炎症を起こします。
女性の性器カンジダ症の約5%が、性交渉による感染が原因であるといわれています。
治療法
治療により、かゆみや発赤、おりものの異常などの症状が消失したことを確認します。
カンジダは常在菌のため、カンジダが少数存在していても、症状が消失すれば、治癒とみなします。
参考)理仁会予防医学研究所 他
のど淋菌・のどクラミジア
咽頭感染症(淋菌・クラミジア)とは
咽頭(いんとう)への淋菌・クラミジア感染は、オーラルセックスが原因で起こります。
オーラルセックスが性感染症の原因になることを知らない人も多く、またうがい薬で殺菌すれば、感染しないだろうと安易に考えられているため、咽頭淋菌感染者や咽頭クラミジア感染者が近年増加しています。
また治療には、性器に感染したものと比べて、治療に時間がかかるケースもあります。
治療法
咽頭淋菌は性器の淋菌感染症に比べ、治療に時間がかかる傾向があり、投薬開始2~3週間後に治癒判定検査を行う必要があります。
咽頭淋菌と咽頭クラミジアは、自然治癒しますか。
オーラルセックスなどのあと、咽頭に気になる症状があるときは、医療機関で受診することが大切です。
咽頭淋菌、咽頭クラミジアは、感染していても症状が出にくい疾患ですので、症状が全くないからと言って感染していないとはいえず、検査を受けることが何より大切です。
参考)市役所 登録衛生検査所 他
HPV(女性)
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、皮膚や粘膜の微小な傷から侵入し、イボなどを引き起こすウイルスです。
HPVには100種類以上の型(遺伝子型)が存在し、そのうちのいくつかの種類が子宮頸がんを引き起こすことで知られています。HPVは子宮頸がん発症リスクの観点から高リスク型と低リスク型に分けることができます。そのうちの高リスク型は15種類存在し、子宮頸がんの主な原因となり、低リスク型の数種類は、尖圭コンジローマなどの原因となります。
高リスク型のHPVに感染しても、必ず子宮頸がんになるわけではありません。
ほとんどの場合が一過性の感染で、時間の経過とともに90%以上は体内から自然消失します。しかし、高リスク型HPVに持続感染していると子宮頸がんを引き起こす可能性が高くなります。高リスク型のHPVが持続感染している場合でも子宮頸がんになるまでは、通常、数年~十数年と長い時間がかかるので、定期的に子宮頸がん検診を受けていれば、がんになる前の状態(前がん病変)で発見でき、治療することが可能です。
症状と潜伏期間
女性について、低リスク型のHPVに感染した場合には、尖圭コンジローマなどのイボ(乳頭状腫瘍)の症状がありますが、高リスク型のHPVに感染しても特に目立った自覚症状はありません。
治療法
現在は、HPV感染に対する治療法はありません。
HPVに感染してもほとんどの場合、免疫力によって、90%以上の人が、自然にHPVを体外に排除し、感染していない状態へ戻っていきます。 HPVが持続感染した場合、異形成を引き起こすことがありますが、今のところ持続感染したHPVを薬などで治療する方法はありません。
異形成は、HPVが体外に排除されれば正常な細胞へと戻っていきますが、感染状態が続いていると軽度異形成からだんだん中等度異形成、高度異形成へと変化、やがてがん細胞(子宮頸がん)になります。
異形成や子宮頸がんのごく初期の段階であれば、子宮を温存して治療することが可能です。HPVに感染していると分かったら、定期的にHPV検査と子宮頸部細胞診を受ける事が大切です。
参考)国立感染症研究所 他
子宮頸がん
子宮頸がんとは
「子宮頸がん」は子宮の入り口の子宮頸部に発症します。
かなり進行するまで、自覚症状がほとんどなく、命を落とすことがなくても子宮の摘出が必要になって、妊娠や出産ができなくなることもあります。しかし、早期に発見することで、比較的治療しやすいことが特徴です。
「子宮体がん」は、子宮体部にできるがんで、閉経前後の女性がかかりやすく、早期から不正出血などの自覚症状があります。
子宮頸がんの原因
子宮頸がんは、性交渉で感染する、高リスク型のヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることがわかっており、子宮頸がん患者の90%以上から高リスク型HPVが検出されています。
このウイルスはごくありふれたもので、性交渉の経験がある女性であれば、ほとんどの女性が一度は感染するといわれています。
このウイルスに感染しても、多くの場合、その人の免疫力によって自然にウイルスが体内から排除されます。 しかし、感染したおよそ10%の女性がウイルスを排除できずに感染が長期化(持続感染)してしまうことがあります。
治療法
子宮頸がんの治療法には、手術・放射線治療・抗がん剤治療があります。
がんの病期(ステージ)や、年齢、合併症の有無など、それぞれの病状に応じて、選択されます。
参考)東京都保健福祉局 他
おわりに
妊娠を望むのであれば、タイミング法をするしないに関わらず、性病検査を行うことをお勧めします。
- なぜなら、少なからずの性病が母子感染するからです。
- 例えば、次の8種類の性感染症では母子感染の可能性があります。
- なお、先に挙げた性病検査 12項目は、2,1000円程で受けられます。お問い合わせ以降に勧めることはありませんので、その点はご安心ください。
性病検査を受けることは、ご自分だけでなく、お子さんのためにもなります。