精子提供バンク 東京ボランティア

精子提供バンクの、東京に住むボランティアです。ブログでは、主に親になられた方が子育ての参考とできるよう、記しています。また、子どもでも自然に分かる文章となれば、嬉しいです。

精子提供方法ごとの長所と短所|シリンジ法(セルフ人工授精)

 

シリンジ法(セルフ人工授精)

特徴

針のない注射器で自己注入する方法です。

  • 自宅などでも出来て、簡単です。

 

「シリンジ法」について教えてください。
 どのような方法なのでしょうか。

花岡先生
採取した精子をシリンジ(針のない注射器)を使って、女性の腟内に注入する方法です。

シリンジ法キットの内容

シリンジ法の流れ

  1. 男性がマスターベーション精子を採取します。採精したら、液状化するまで10分~15分おきます。

  2. 10~15分おいた精液を専用のカテーテルをつけたシリンジ内に精子を吸い上げます。精子を吸い上げる前にシリンジに少しだけ空気を入れておきましょう。

  3. カテーテル部分を腟内に挿入し、精液を注入します。

  4. 10分ほど横になって休みます。

人工授精とは違うんですか?

花岡先生
患者さんのなかには「自分でできる人工授精」だと勘違いされているかたもいるのですが、まったく違います。病院での人工授精は、基本的な検査を受けて、男女ともに異常がないと診断されたかたに行います。例えば精液の中に精子がいない人が行っても意味がありませんからね。超音波検査で卵胞の大きさ、子宮内膜を計測し、血液検査で排卵前に上昇するLHというホルモン値を測定して排卵日を予測します。その日に精子を採取し、遠心分離機で洗浄・濃縮をします。元気な精子を選別して、より妊娠率を高めるためです。その精子をやわらかいカテーテルを使って、子宮に注入します。場合によっては、排卵誘発剤を使うこともあります。
「シリンジ法」は採取した精子をそのまま注入するので、人工授精とは明らかに違います。

「シリンジ法」はどのようなかたにおすすめですか?


花岡先生

大前提としては、女性の年齢が35才以下で、月経周期がきちんとしているかた。病院での検査で子宮筋腫や内膜症などの異常がないことが確認されているかたですね。男性のほうも、精液検査で異常がないかたですね。イムリミットがある妊活ですから、時間を無駄にしないためにも、始める前には夫婦で受診されて基本的な検査を受けておくことをおすすめします。
そのうえで、夫婦の生活スタイルが合わなくてセックスができないとか、射精障害、排卵日セックスに抵抗を感じているかたにはとくにおすすめです。「これで排卵日セックスのプレッシャーから解放される!」と喜ぶダンナさんも多いみたいです。ダンナさんのタイミングがいいときにマスターベーション精子を採取してもらえばいいから、夫婦関係もギクシャクしないし、一石二鳥! 1人目を出産後セックスレスになったご夫婦が、2人目のときに使って妊娠したという話も聞きますね

「シリンジ法」のメリットはどんなところでしょう?

花岡先生
1回500円程で自宅で試せるというのが最大の魅力ですよね。肉体的な負担がほとんどないから何回も試すことができます。人工授精は高濃度の精子を注入するので、女性が卵管炎になる可能性もあるんですよ。また、精子を調整することで短命になるため、よほどぴったりのタイミングで注入しないと妊娠しづらいのですが、シリンジ法なら3日間くらいは生きているので、意外に妊娠率は高い気がします。
人工授精にステップアップする前に試す価値は大きいと思いますね。他の病院で人工授精を何度かやられてうちのクリニックに転院してきたかたにシリンジ法をすすめたら、すぐに妊娠したケースもあります。

「シリンジ法」を行う際の注意点はありますか?

花岡先生
排卵日以外に行っても意味がないので、やはり排卵日はきちんと予測する必要があります。うまくできるか不安に思うかたも多いのですが、タンポンの要領なのでタンポン経験者ならだいじょうぶです。1人では自信がないなら、ダンナさんに入れてもらっても。ただし、腟に入れるのはカテーテル部分まで。それ以上は挿入しないよう注意してください。

 

参考資料)

はなおかIVFクリニック品川|シリンジ法についてドクターにお聞きしました

 

「シリンジ法」はどのような方におすすめですか?

松本先生
女性は35才以下、男性は精液に異常がない場合を前提として、性交渉ができないカップルに有効な方法です。男性が勃起不全、いわゆるED、あるいは射精前にしぼんでしまう中折れなど、膣内には射精できないけれど、マスターベーションでは射精できるという人であれば試す価値があります。女性が膣けいれんを起こしてしまったり、痛くて性交渉できなかったり、性交渉に対して恐怖心がありうまくできないというかたにもおすすめします。

 

「シリンジ法」にはどのような利点がありますか?

松本先生
お仕事が忙しくて来院が難しいかたはたくさんいますよね。シリンジ法は、人工授精や体外受精と違って病院に来なくてもいいところが利点。会社を休まずにできるし、費用も安くすみます。排卵障害があっても排卵誘発剤を服用すれば、排卵のタイミングに合わせてシリンジ法が行えます。男性にとっては、「またダメだったら……」という精神的な負担も軽くなりますよね。

「シリンジ法」を行う際の注意点はありますか?

松本先生
EDの男性だと精液が1ccにも満たないかたがいます。貴重な精子を無駄にしないよう、採取した精子を30分ぐらいおき液化してサラサラになってから試すとよいでしょう。注入後は横になり、腰のところに枕などをあてて骨盤を少し高くして30分ぐらい安静にするといいですね。

 

参考資料)

松本レディースクリニック 不妊センター|シリンジ法についてドクターにお聞きしました

 

病院で行う人工授精とどう違うのでしょうか?

中村先生
病院での人工授精は、男女ともに基本的な不妊検査を行い、精子数が少ない場合やタイミング法で妊娠しない場合に実施されます。基礎体温をつけ、超音波検査で卵胞チェック、LH排卵チェッカー、頚管粘液を見ながら排卵日を特定し、その日に人工授精を行います。精子は採卵後あまり時間のたっていないもののほうが状態がいいので、来院して採精していただくことが望ましいのですが、都合がつかない場合は採取後2時間以内に持参するようお願いしています。採取した精子を、最も適した方法で洗浄、濃縮などの処理をして、女性の子宮内に入れます。その後、卵子精子が受精し、着床、妊娠に至るまでのプロセスは自然妊娠とまったく同じです。料金はご夫婦で3万円です(*)。 シリンジ法は、採取した精子をそのまま注入する点が、人工授精とは明らかに違います。

* はるねクリニック銀座の場合。クリニックによって異なります。

 

「シリンジ法」はどのようなかたにおすすめですか?

中村先生
当院では、不妊治療の基本的な検査を行い、とくに原因が見つからないカップが、人工授精と併用してシリンジ法を試すことが多いですね。排卵時期が休診日と重なったり、仕事などで通院できない場合に、シリンジ法をご案内しております。
また、性交障害のあるカップルには特におすすめです。男性が射精ができない、女性側が痛みを感じて最後までできない、セックスレスなど、子どもは欲しいけれどうまく性行為ができないカップルにいいと思います。シリンジ法を1~2回試して妊娠されたカップルもいますし、人工授精と同様に大きな原因がないと意外と妊娠率が高いなというのが実感です。性行為ができないこと以外に不妊原因が見当たらないわけですから、その部分をクリアすればすんなりと妊娠するんでしょうね

「シリンジ法」を行う際の注意点はありますか?

中村先生
まずは病院で検査を受けて、男女ともに異常がないことを確認してください。感染症などがあればその治療をしないといけませんし、無精子症の場合はシリンジ法では妊娠できませんから。貴重な時間を無駄にしないためにも、ご夫婦で検査を受けてください。
また、シリンジ法は排卵日に行わないと意味がありません。基礎体温や頚管粘液の状態、排卵チェッカーなどから自分でも排卵日を予測できますが、本当の排卵日とのズレが生じているケースが多々あります。とくに生理不順のかたは予測しづらいですし、より正確に知りたいなら、やはり病院で調べたほうがいいでしょう。
そしてシリンジやカテーテルをさわる前には、手をしっかりと洗うこと。手にはバイキンが多いので感染症予防のために、シリンジやカテーテルの先端は直接さわらないようにしてください。使う直前まで袋に入れておくと安心ですね。

 

参考資料)

はるねクリニック銀座|シリンジ法についてドクターにお聞きしました

 

次の情報を、補います。
 
シリンジが下に向いていれば、ほぼすべての精液を注入できます。
一方で、シリンジが上に向いていると、シリンジとカテーテル内に多くの精液が残ってしまいます。
  • なぜなら、シリンジが上に向いていると、どうしても空気が先に出てしまうからです。
  • その対策のひとつは、女性が仰向けに寝て膝を抱えた状態で、ご自分で注入する方法でしょう。
  • この方法なら、精液を余さず使い切ることが出来ます。
 
膣に挿入するのは、カテーテルのみで十分です。
  • なぜなら、女性側に性的な興奮がなければ、膣の入り口から子宮口までは6~7cmと言われているからです。
  • シリンジまで含めて挿入すると、かえって膣内を傷つける恐れがあります。

 

 

費用(交通費含まず。定期検査等の積立費 約500円含まず。)

専用の医療器具費が500円程です。

成功率(20代の健康な方)

周期当たりの妊娠率は、15%前後です。成功見込みのある年齢は、40代前半までです。

  • 私からの提供人数は、確率を出すのにまだ不十分なため、精液の質が同程度のドナーの妊娠率を参考として、算出しています。
  • 私の精液検査値とその方とを比較すると、私は精子運動率が5%ほど低いものの、総精子数は2~4億ほど多く、正常形態率は30%ほど高いです。
  • そのため、私が多くの方に提供した場合でも、妊娠率は同程度以上に良いと予想できます。

性病リスク

私からの提供であれば、性病リスクは、気にしなくてよいほど 少ないです。

  • なぜなら、最多項目の性感染症検査を定期的に受けているからです。なおかつ、明らかに必要な場合を除いて、タイミング法を行わないからです。さらに、ご希望があれば、タイミング法の受け入れを中止するからです。
  • 具体的には、タイミング法を行わないことで、実際にはかかっている性感染症を検出できないリスクを、取り除くことができます。詳しくは、「Q. どうしてタイミング法を行わないのですか」をご参照ください。
  • その他の点でも、衛生配慮が行き届いております。詳しくは、「セルフ授精に際しての医療器具の実費提供」をご参照ください。

その他の感染症リスク

性病以外の感染症リスクは、ないです。

  • なお、性病のリスクは、精子提供者が性病の検査を適切な期間を置いて受けることにより、なくすことができます。

温かみ

少なくとも私は、シリンジ法で、温かみを感じています。

  • なぜなら、協力しながらの対話や文通が、子どもの頃から好きだからです。

参考

男女の産み分け

男女の産み分けは、ゼリーの使用などである程度できます。

 

シリンジ法における簡単な実績

専門医によれば、精子濃度4000万/ml未満の場合、自然妊娠、つまりシリンジ法とタイミング法からステップアップすることが、勧められています。

 

私からシリンジ法で提供をお受けになった方は、30歳程でしたら、ほぼ毎周期、陽性反応が出ています。(2018年1月 時点)

  • 遠方からお越しになって、シリンジ法でお受けになる方には、交通費や時間のご負担が減らせることと思います。
  • なぜなら、少ない提供数で出産できる見込みが高いからです。
  • 沖縄や北海道など、遠方からのご依頼もお受けしております。

 

私からの提供では、シリンジ法であっても30代中ごろの方が、一回の提供で妊娠なさる場合もあります。1周期ではなく、1回です。

  • 信頼性の高い知識に基づいて、条件を適切に整えれば、可能となります。
  • 具体的には、遺伝的相性の調整、男性側・女性側の生活習慣を始めとした環境要因の工夫、などが挙げられます。
  • 少ない提供回数で出産できれば、交通にかかるお時間やお金の負担は、非常に軽くなります。その分を、養育や教育の費用に充ててくだされば、幸いです。

 

ただし、「そうであるなら、精子提供を受けるか決める期限を、35歳にしよう」とお考えになるのは、お止め下さい。

  • なぜなら、妊娠の年齢が若いほど生まれるお子さんは、病気や障害の発症率が低いからです。
  • また、子育てをするお母さんの体力も高いからです。
  • 産婦人科医が話す通り「卵子は、質の高いものから順に排卵」されています。